
尾てい骨に痛みが生じる原因は一つではなく、多岐にわたります。
一時的な痛みであれば自然と解消されるものもありますが、放置することで症状が悪化したり、時には深刻な病気が潜んでいる可能性も考えられます。
そのため、安易に自己判断せず、痛みの原因を正しく理解し、適切な対処を行うことが重要です。
ここでは、尾てい骨の痛みがなぜ生じるのか、その主な原因について詳しくご紹介していきます。

尾てい骨とは?
尾てい骨は、お尻の中央上部にある骨で、その正式名称は「尾骨(びこつ)」といいます。
これは、かつて人間にあったとされるしっぽの名残だと考えられています。
尾てい骨は複数の小さな骨がつながってできており、骨盤の後ろ側にある「仙骨(せんこつ)」の下についているのが特徴です。
そのため、尾てい骨は脊椎の最も下端に位置する骨とされています。
尾てい骨の先端は細くなっており、出っ張っているため、比較的簡単に触れることができます。
この尾てい骨には、お尻の大きな筋肉である「大殿筋(だいでんきん)」や、骨盤の底を支える「骨盤底筋(こつばんていきん)」などが付着しています。
骨盤底筋は、内臓を支えたり、排尿・排便といった機能をコントロールしたりする重要な役割を担っています。
したがって、尾てい骨はこれらの筋肉の動きや、日頃の姿勢の維持に深く関わる骨といえるでしょう。

尾てい骨が痛む原因
尾てい骨に痛みが生じる原因は一つではなく、多岐にわたります。
一時的な痛みであれば自然と解消されるものもあれば、放置することで症状が悪化したり、時には深刻な病気が潜んでいる可能性も考えられます。
そのため、安易に自己判断せず、痛みの原因を正しく理解し、適切な対処を行うことが重要です。
ここでは、尾てい骨の痛みがなぜ生じるのか、その主な原因について詳しくご紹介していきます。
座ったときの姿勢不良
座ったときの姿勢が悪いと、尾てい骨に痛みが生じる主要な原因となります。
特に、猫背のように背中が丸まった姿勢で座ると、骨盤が後ろに傾き、尾てい骨が座面に強く圧迫されてしまいます。
この圧迫が長時間続くと尾てい骨周辺に負担がかかり、痛みが発生しやすくなります。
また、椅子に浅く座る座り方も、尾てい骨への圧迫を強める原因です。
お尻全体で体重を支えられず、尾てい骨に集中的に負荷がかかることで、痛みにつながることがあります。
日常的にこのような悪い座り方を続けていると、尾てい骨の可動域が制限されたり、正常な位置からずれたりして痛みが悪化する可能性も考えられます。
筋肉の緊張によるコリ
同じような姿勢で長時間過ごされる方は、知らずのうちに骨盤周りの筋緊張が起こっている可能性が高いです!
特に腰やお尻の筋肉が緊張すると、尾てい骨に過度な力が加わり、痛みが生じやすくなります。
このような筋肉の緊張状態が続くことで、尾てい骨が引っ張られ、負担がかかりやすくなります。
筋肉の緊張によって血行不良が起きると、痛みがさらに悪化する原因にもなるでしょう。
筋肉が緊張する原因は主に下記の3つです。
▶︎ 姿勢が悪い
▶︎ 長時間のデスクワークなどで同じ姿勢が続く場合
▶︎ スポーツによる激しい活動や運動不足
これらの要因により筋肉の緊張が続くと、痛みが長期間続くことにもなりかねません。
例えば、お風呂で体を温めると痛みが和らぐ場合、筋肉の緊張が痛みの原因である可能性が高いです。
妊娠や産後
産後のホルモンバランスの変化により、尾てい骨周辺の筋肉や人体が過剰に伸びた結果、痛みを誘発している可能性があります。
妊娠後期に入ると体が出産に備えるために「リラキシン」というホルモンが分泌されます。
このホルモンは骨盤の関節や靭帯を緩めることで産道を広げ、出産をスムーズにする大切な役割を担っています。
しかし、リラキシンの影響により尾骨やその周りの筋肉、靭帯が過剰に伸びてしまい痛みを感じることがあります。
他にも妊娠中に体重が急激に増加する方も少なくありません。
体重増加により尾骨に直接的な負担をかけるだけでなく、尾骨の位置がずれる原因となり痛みを引き起こすことがあります。
産後は育児による疲労が蓄積しやすく心身ともに休まる時間が少ないため、尾骨の痛みの回復も遅れる傾向にあります。
日常的に授乳や抱っこなどで前かがみの姿勢を長時間続けることは、尾骨周りの筋肉に負担をかけ痛みを悪化させる要因にもなりかねません。
ホルモンの影響や体重増加、そして育児による疲労が重なることで産後の尾骨の痛みは長引きやすいと理解しましょう。
■参考記事:妊娠中の腰痛、我慢していませんか?―大阪府立大学 総合リハビリテーション学研究科 森野佐芳梨助教
ケガや骨折
転倒や尻もちによって尾てい骨に強い衝撃が加わると打撲や骨折などさまざまな損傷を引き起こし、痛みの原因となります。
特に尻もちをついた場合、尾てい骨を直接打ったことで、筋肉や皮下組織が損傷し、打撲として痛みが発生することが多いです。
打撲では、腫れや内出血を伴うこともあり、強い痛みを感じる場合があります。
通常、打撲であれば数日から数週間で痛みが軽減される期間となりますが、長期間痛みが続く場合は、骨折の可能性を疑う必要があります。
尾てい骨は細い骨であるため、腕や足の骨折のように激しい痛みを伴わないことも少なくありません。
そのため、単なる打撲だと自己判断して放置してしまうケースも見受けられます。
しかし、尾てい骨の骨折は座る動作や排便時に強い痛みが生じ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
また、骨折や損傷の程度によっては腸や膀胱の機能に影響が出る可能性も指摘されています。
痛み以外にも「患部の腫れやしびれ」「足の脱力感」などがある場合は速やかに医療機関を受診し適切な診断と治療を受けることが重要です。

尾てい骨が痛いときの治療法
尾てい骨の痛みは、治るまでに時間がかかる場合もありますが適切な対処を行うことで痛みの軽減が期待できます。
具体的な治療法について、以下でご紹介していきます。
正しい姿勢を意識する
尾てい骨の痛みを感じる場合、何よりもまずは日頃の座り方を見直し、正しい姿勢を意識することが重要です。
特に、猫背は尾てい骨の痛みに非常に密接に関係しており、なるべく早めの意識改革が必要です!
悪い姿勢で長時間座ることで、お尻周りの筋肉が緊張し、骨盤が後方に倒れてしまいます。
結果として尾てい骨に過度な圧力がかかり、痛みに繋がります。
背筋を伸ばすことで背中やお尻の筋肉にかかる負担が軽減され、痛みの改善が期待できます。
デスクワークなどで長時間座る機会が多い方は、シンプルに背筋をまっすぐに伸ばすように心がけましょう。
日頃から良い姿勢を保つことで、尾てい骨への負担を減らし、痛みを和らげることができます。
硬い椅子に座らない
尾てい骨の痛みがある場合は、硬い椅子に長時間座ることは避けましょう。
木製や金属製のような硬い材質の椅子は座る際の衝撃を吸収しにくく、尾てい骨に直接的な負担をかけるため痛みを悪化させる可能性があります。
そのため、硬いものの上にそのまま座るのではなくクッションを活用して衝撃を和らげる工夫が必要です。
特に、ドーナツ型のクッションは尾てい骨が座面に触れることを防ぎ、体圧を分散させる効果があるため痛みを抱えている方には特におすすめできます。
仕事などでどうしても長時間椅子に座る必要がある場合は、クッション性のあるものに交換することも有効な手段です。
高反発や低反発の素材を使った椅子や座布団は尾てい骨への負担を軽減し、長時間座っていても痛みが和らげる効果が期待できます。
また、こまめに立ち上がって休憩を取り軽く体を動かすことで同じ部位に負担がかかり続けることを防ぎ、筋肉の緊張をほぐすことも大切です。
💡POINT💡
筆者は1日の8時間以上はデスクワークで過ごしますが、蓄積疲労でお尻が痛くなります・・・。また、前屈みになるとピキッとくる腰痛持ちです。
姿勢改善は急務だな、と個人的にも感じており、今は『骨盤矯正椅子』を導入しています!
普通に座るだけで背筋がまっすぐになるし、お尻も痛くない素材なので非常に重宝しています!今後何十年ってデスクワークが続くなら、早めに対策した方が良いなと思い一年発起しました(^_^)/
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■参考記事:【徹底比較】骨盤矯正椅子のおすすめ人気ランキング【姿勢矯正椅子で姿勢サポート!2025年8月】|mybest
適切なストレッチをする
尾てい骨の痛みは筋肉の緊張が原因となっている場合が多く、ストレッチが効果的です。
長時間座る姿勢が続くとお尻まわりの筋肉が硬くなり、尾てい骨が引っ張られることで痛みが生じやすくなります。
定期的にストレッチを行うことで筋肉の柔軟性が高まり、尾てい骨へのストレスが軽減され痛みの改善につながることが期待できるでしょう。
具体的なストレッチとしては、いくつか実践しやすい方法があります。
例えば、仰向けに寝て片膝を胸元に引き寄せるストレッチは、お尻の筋肉を効果的に伸ばすことができます。また、椅子に座ったまま、片足を反対側の膝の上に組んで、背筋を伸ばしながら上体を前方に倒すストレッチもおすすめです。これは梨状筋と呼ばれる尾てい骨に近い筋肉を伸ばすことができ、腰痛の改善にもつながります。
これらのストレッチは、無理のない範囲でゆっくりとした動きで行うことが大切です。痛みを感じる場合はすぐに中止し、他の方法を試すようにしてください。日常生活にストレッチを習慣として取り入れることで、筋肉の緊張を和らげ、血流を促進し、ストレスによる痛みの原因を改善へと導きます。
■参考:姿勢改善ストレッチ!〇秒で実年齢より若く見せよう!|FANCLjapan
専門機関を受診する
セルフケアを続けても痛みが改善しない場合は、専門機関の受診を強くおすすめします。
痛みが長期間続くようであれば、骨折やその他の病気が原因として隠れている可能性があり注意が必要です。
尾てい骨の痛み以外に、排便時の痛みや足のしびれなどの症状が併発している場合も、早めに専門医に相談することが重要です。
整形外科など専門機関を受診しレントゲン撮影やMRI検査などを行い、尾てい骨の状態を正確に把握することで、「打撲なのか」「それとも骨折なのか」といった診断が可能です。
ここで初めて薬物療法や物理療法、もしくは生活習慣の見直しで十分なのかなどの判断が可能になります。

まとめ
尾てい骨の痛みは、姿勢の悪さや筋肉の緊張が原因となることが多く、セルフケアで改善が期待できます。
適切なストレッチを取り入れ、座り方を見直すことで、筋肉の負担を軽減できます。
痛みが続く場合は、骨折や他の病気が原因の可能性もあるため、整形外科を受診して原因を特定することが大切です。
病院では、専門医が痛みの原因を正確に診断し、適切な治療法を提案してくれます。
日常生活でできる対策を試しても痛みが続く場合は、我慢せずに専門機関に相談し、痛みの改善を目指しましょう。
💡POINT💡
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